ここ数年、クリニカルパス(以下パスと略す)が注目され、その波及していくスピードの速さには驚くばかりです。日頃、目先の業務に追われ見失いがちになる医療社会の動向、なかでも薬剤師の今後の道筋を再確認するために当セミナーに参加いたしました。パスは、医療の質の保証のみならず様々な医療事象の要となりつつありますので、その論点はたくさんあります。当セミナーを聴講いたしましても多くのことを学びましたが、紙面の都合上、ボールペンで特に強くグリグリと書き印したメモを拾い、参加記とさせていただきます。
 パス委員として当院のパスの構築に参画している私にとって、適応基準・除外基準・ゴール基準が明記された「スタッフオーバービューパス」、さらに医学薬学知識がアルゴリズム化された「オプションパス」などをスライドで目の当たりにし、その洗練された内容に驚くとともに、当院のパスも早急にレベルアップしなくてはならないと強く認識いたしました。医学薬学の進歩に同調することは勿論ですが、「インフォームドコンセント」から「EBM」「アウトカム評価」「バリアンス分析」「コスト管理」へ、そして「トータルクオリティ管理」へと段階的に進化させていくことは、混沌としているように思える医療界をカギで一つ一つ開けていけるような実感を得ました。特に、医療経済を考慮したパスの作成には、「薬剤経済学」の導入が必要であると学びました。費用と効果の両方を要件とし、また目に見える形で論じられる魅力は、コスト管理に必須な学問であると思われます。
 「チーム医療への参画」もパスにおいて連呼されております。それは、各職種のプロとしての職能が明確化された状態であるので、薬剤師もチーム(組織)の中で現状分析をし、文献評価などの知識を持ち合わせて議論をし、職能を実践する必要がある、との指摘には思わず自ら省みてドキッといたしました。

 昨今、医療過誤に対するリスクメネジメントや患者参加型医療が、大きなキイワードであることは申しあげるまでもありません。厚生労働省の医療安全推進総合対策において「クリニカルパス活用の推進を具体的な安全対策」としていること、社会保険診療報酬の医療に係る情報提供において「入院診療計画の未実施減算」が導入された点など、医療社会の動向もセミナーで論じられていました。私たち薬剤師も、一医療人としてそれらの動向に目を向け、論調に耳を傾け、そしてリスクマネジメントや情報提供をパスの上で業務展開していくことを迫られていると思われます。
 最後に、急性期を担う当院において、パス表の中に薬剤師の介入が次々と明記されていくにつれ、薬学的チェックや服薬指導が時間外におよぶことが常となってしまった問題点を質問させていただきました。休日も平日と同等の業務がおこなえるような議論がなされている病院、すでに薬剤師も2交代制になっている病院などの紹介をいただきました。これからも、チーム医療の一員として臨床に即した業務展開を続けていこうと考えています。
 総じて、パイオニアとしてパスを導入し、さらに目指す理想を確信しながら、薬剤師の職能を発揮されておられる各病院の先生がたのご講演から、今後の指標と活動エネルギーをいただきました。


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