米国研修におけるプログラムの病院見学でロードアイランド州にあるランドマーク医療センターとメモリアル病院を訪問したので、その報告をいたします。
ランドマーク医療センターはマサチューセッツ州の南隣のロードアイランド州にあり、今回は急性期医療が中心のWoonsocket Unit(ベッド数223床)と心疾患患者の外来リハビリ施設のLandmark Heart Centerを見学しました。
Woonsocket Unitではgeneric caremap(汎用性ケアマップ)で100%の患者にケアマップを使用しています。generic caremap(汎用性ケアマップ)は、特定の疾患用のケアマップではなく、例えば外科疾患であれば「手術」を受ける患者というように対象を広く捉え、時間軸が術前、術当日、術後1日目となっているものです。



Memorial Hospital of Rhode Island

すべてのケアマップの最初のページには時間軸に沿って、@健康、A知識、B合併症がないこと、C機能の4つの視点から、期待されるアウトカムを明示しています。このページだけで、アウトカムを達成しているのか、もしくはバリアンスとなっているのかが即時に分かるようになっています。ケアマップはそれぞれの介入や処置よりも、アウトカムに焦点が大きく当てられている「アウトカムベース」の志向となっています。時間軸に沿ったケアや介入に一つ一つこだわるというよりも、アウトカムを明示することで、ばらつきのない医療の質を保つことができ、バリアンスを分析、調査することで更に高い質へと向上させるデータとなります。Woonsocket Unitではケアマップごとに医師用のケアマップガイドラインを作成し、時間軸ごとに介入やアウトカムが1ページにまとめてあり、治療プロセスを一目で理解することができます。
次に訪問したLandmark Heart Centerは、心疾患患者の外来リハビリ施設で、まるでスポーツジムのような設備で大変驚きました。このセンターでは運動に関して特別に訓練を受けた看護婦(NP)が常駐しており、ケアを提供しています。また、患者の状況に合わせて、様々なプログラムだけではなく、疾患ごとに用紙の色が異なった何種類もの外来患者用ケアマップがあります。このようなリハビリ施設は全米に多数あり、このようなリハビリセンターは短期間の入院をサポートするシステムのひとつです。
2箇所目の訪問先となった、ロードアイランド州にあるメモリアル病院はベッド数294床、平均在院日数5.3日、病床利用率約50%の教育研修病院です。病床利用率には大変驚かされましたが、採算はとれているとのことでした。これは、ケアマップによる効果だけではなく、病床利用率の変動に対応した流動的な人員配置により固定費を低く抑えることができることなどが影響しているようです。
1990年よりケアマップの概念が導入され、毎年進化を重ねているケアマップは1ページ目に簡単な患者のプロフィール(入院理由、既往歴、コミュニケーションの問題など)と入院中の治療や診断の指示の流れ(時間軸に沿った介入などの一覧)を見ることができ患者の概観を容易に把握できるようになっています。2ページ目には患者の問題やニーズと退院時のアウトカムが@治療、A合併症の可能性、B栄養、C活動とセルフケア、D教育の5つの分類で明確に示されています。3ページ目に日々のアウトカムへと続きます。バリアンスは@患者/家族、A病院システム、Bコミュニティシステム、C医療従事者、Dその他の5つに分類し、集計しており、容易に把握できるようになっています。バリアンスとして最も多いのは、患者/家族で、医療従事者であることはまれとのことでした。また、このバリアンスに対しては、原因、誘因、現状、対応などを別シートに記述することになります。




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