2001年度のクリニカルパス米国研修会は、6月24日から6月30日までクリニカルパス発祥の地、Bostonで開催された。
 今回のプログラムは、参加者を病院のトップマネジメント層とクリニカルパス推進リーダー層に絞り込んで、パスの概念の理解を深め、パス先進国である米国の医療施設で活用されているパスの実際を学び、我が国でのパスを病院全体に普及させるヒントを学び取ることを目的にプログラムを構成した。
 出発前の事前研修に始まり、一日目は時差調整の為のフリータイムと懇親ディナーパーティ、二日目はホテルでの講義、三、四日目に病院訪問(2カ所)、五日目がホテルでの施設見学のまとめと「アウトカムに焦点を当てたパスの作成方法と演習」「パスプロジェクトのマネジメント方法」の講義と討論でプログラムを締めくくった。Bostonでの研修会全日程を通じ、CCM(The Center for Case Management)のDr.マイケル・パーマーとカレン・サンダー両氏が講師として立たれ、講義だけでなく病院見学にも同行され解りやすく解説していただいた。また、参加者有志による夕食会などにも気軽に参加していただき、その人柄にも魅了された人が多かったようである。「病院管理者にとってのパスの重要性」「パスのベストプラクティスの構築」「日々のパスの運営方法」などの講義からKey Word風に要点を拾うと“CQI(継続的質の改善)”“Critical Indicator”“アウトカム志向のパス”“パスの主語は患者”“ベンチマーキング”“バリアンスとパターン認識”などであろうか。訪問した、教育病院でもあり、ブラウン大学の施設でもあるMemorial Hospital of Rhode Islandでは、Care Mapに取り組み始めてから11年でエビデンスに基づく見事なケアマップパッケージが作られていた。病院全体で26のCare Mapを持ち、パス使用率は100%であると聞いた。平均在院日数は5.2日、病床利用率は50%前後、黒字経営だそうである。



Care Mapの使用方法も、1疾患に1 Care Mapではなく、アルゴリズムの併用や、乗り継ぎパスやインサートパスの適用など、柔軟性に富んだ使い方がされていて、医療記録としても認められている。
 また、パスの質を向上させるには、ベンチマーキングを行い、ベストプラクティスの徹底調査を通してパフォーマンス(治療の質、コストなど)を向上させ続ける絶え間ない成果の測定と継続こそ重要なんだと悟らされた。
 医療環境も異なり、クリニカルパスの全病院的導入に、米国とは違った意味での困難性がある我が国の医療現場にEBMの実践こそが医療の標準化を可能にし、患者への最高の医療サービス“質の高い医療の提供”につながっていくことを実感した研修であった。“本場のパスを学び取る”という参加者の熱意が本研修を意義あるものにしてくれたと思う。Bostonに留学経験のある大橋高志Dr(公立昭和病院)、西山敏彦Dr(済生会熊本病院)には通訳のお手伝いまでしていただいた。CCMの日本側窓口であるメディカルクリエイトの遠山 峰輝氏には、企画の段階からお世話になった。参加者を代表してお礼申しあげます。
 参加者相互の交流、情報交換も上手く行われたようであり、大変有意義な研修であったと結論付けたい。


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