平成14年5月31日、6月1日東北厚生年金病院および、日本クリニカルパス学会の主催による見学会に参加させていただきました。
 会場の東北厚生年金病院には、立川幸治先生・岡田晋吾先生はじめ全国より21名の参加者が集まり、東北厚生年金病院のパス大会をもとに各病院で抱えている問題や医療制度改革という医療を取り巻く環境の変化の中でのクリニカルパスの役割など多方面からの意見交換が行われました。
私がこのパス大会に参加させていただいたのは、昨年行われた公立昭和病院のパス大会見学会で東北厚生年金病院の菅原重生先生にお会いしたことがきっかけでした。その後、非公開ではありましたが第2回東北厚生年金病院のパス大会に隣県という事もあり参加させていただき、今回で3回目の見学会になりました。東北地方では、まだまだ発展途上にあるクリニカルパスですが、身近なところに指標となる病院があることはとても心強く、前回に増して進化した内容のパス大会及び、実行委員会の取り組みに多くを学ばせていただきました。




その中でクリニカルパスガイドラインについては、当院でもパス作成、使用について最低限のルールを統一していこうとしていたこともあり、参考にさせていただく部分が多くありました。2001年11月に政府・与党がとりまとめた「医療制度改革大網」や12月に厚生省が発表した「保健医療分野の情報化にむけてのグランドデザイン」において電子カルテ導入の動きが加速してきています。ガイドラインの中には電子カルテ導入も見据えて記録用紙のルールが盛り込まれていました。また、パス管理を中央化することで各科のパスのレイアウト作成、管理、保存、印刷などが行われており、これも電子化にむけての取り組みであるとともにパスの作成を促しているのだと知りました。
 当院では平成12年12月にパス委員会が発足し、パス作成の推進及びパス大会の運営に当たってきました。そのパス委員としてこれから何をすべきなのか、何ができるか考える機会になったと思います。
 パス仲間との出会いを与えてくださった東北年金病院のみなさま、ならびにパス学会のみなさまにはとても感謝しています。またお会いして情報交換できる日を楽しみにしております。本当にありがとうございました。


 日本クリニカルパス学会主催による第2回教育セミナー「薬剤師とクリニカルパス」が6月1日に昭和大学上条講堂で開催されました。
 今回のテーマは薬剤師が自らの専門能力を活かしてクリニカルパスに関わっていくかを中心に、パスの作成と実践について各々の立場から報告が行われました。まず、済生会熊本病院の飛野先生からパス作成とその実践方法、昭和大学病院の田中先生から、パスとリスクマネージメント対策について特に化学療法におけるパスの作成と評価、福島県立医大病院の尾形先生から臨床試験(治験)とパスの関係、聖路加国際病院の井上先生から、パスと薬剤経済学―いかにして適正な薬剤をパスに取り入れるかについての講演が行われました。会場には全国から200名近くの薬剤師が参加し熱心に講師の話に耳を傾けていました。
 今回の4つの講演は、クリニカルパスが臨床薬剤業務を行う上で直面するさまざまな問題を解決するための優れた手法であることが参加者に十分に伝わり、また私自身も日常の臨床薬剤業務を行う上で大変参考になりました。4人の先生方の講演で共通していえることは、医療現場でチーム医療を行うにあたり薬剤師がどのようにクリニカルパスを実践し、患者さんのための統括医療ができるかでした。私たちの職種は、“国民に顔の見えない医療職”とか“医療従事者から顔見えない職種”などと言われていましたが近年、薬剤師は薬剤管理指導(服薬指導)を行うことによって、かなり医療現場で顔が見える職種となってきています。しかし、現実的には全ての患者さん全ての病棟に薬剤管理指導(服薬指導)ができている施設はまれです。クリニカルパスは、各施設において今まで薬剤師が様々な理由から関われなかった患者さんに対し薬剤師としての専門能力を発揮する手法の1つとなりうるのではないでしょうか。エビデンスに基づいてチーム医療で作成されたパスは、支払基金、医療経営者、医療従事者、患者さんにも利益をもたらすものであると今回のセミナーで教えられました。


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