5月23日に行われました、第2回東北厚生年金病院パス大会に参加させていただきました。当院においても、本年4月に泌尿器科の荒井先生を委員長とするクリニカルパス推進委員会が組織され、委員の一人に任ぜられた関係上、出席させていただく機会を得たものです。私自身は、おそらく当院の多くの医師がそうであるように、正直なところクリニカルパスに関する知識も十分でなく、その重要性についても十分認識しているとは言い難い状況でしたので、この機会をある意味、とても楽しみにしていました。
 クリニカルパス大会では、藤村病院長からのご挨拶に続き、クリニカルパス実行委員長の菅原先生から「当院におけるクリニカルパス導入の経過および今後の展望」と題して、東北厚生年金病院におけるクリニカルパスの動向に関するご説明がありました。同院では、2000年7月に藤村病院長の主導のもとにクリニカルパス実行委員会が組織され、積極的にパス導入促進が行われてきたことに大変感心しました。クリニカルパス実行委員会では、パス発表会、講演会を年数回にわたって開催すること、パスの作成・使用のガイドラインを作成することの他、パス登録・印刷作業の中央化や「詳細な入院診療計画書」の作成支援なども行っていることを学びました。この後、各病棟におけるパスの運用の仕方を実際に見学させていただきました。病院全体のガイドラインに添いながらも、各病棟毎に疾患や治療内容に応じて工夫されたパスが作成され、病棟師長さんを中心に積極的に運用されている様子が伺えました。


   夕方からは、済生会熊本病院副院長の副島先生のご講演を拝聴いたしました。副島先生は、同院のTotal Quality Management Center長を兼任されているそうです。ご講演の詳細をここに記載することはいたしませんが、クリニカルパスを単に治療の標準化を行うためのツールととらえずに、パスの作成・運用・バリアンスの分析を通じて病院全体のリスクマネージメント、コスト管理さらに病院の組織改革へと繋げていこうとされているグローバルなお考えに感銘を受けました。



 当院においてクリニカルパス推進委員会が組織された背景には、今年度から大学病院・国立病院を対象に導入されることになった包括評価があります。現在当院では、約90のクリニカルパスが各部門で作成され使用されていますが、各病棟・部門でそれぞれ独自に作成・運用されているのが現状です。今後推進委員会が中心となって、パスの作成・使用に関わるガイドラインの作成、バリアンス評価法の確立、パス導入のメリット・デメリットの評価などが行われていくものと思います。クリニカルパス推進委員会が、医療の効率化、質の向上、さらに病院の組織改革に至るまで、多くの貢献ができるよう願っております。

[ Page 1 2 3 4 ]

Copyright (c) Clinical Pathway 2003, All Right Reserved.