今回の参加者(有料)は2,958名、同様な学会が他都市で行われていたにもかかわらず、はじめての地方都市開催の学術集会としては予想以上の集まりであり、クリニカルパスの広がりを改めて痛感いたしました。それとともに、座長、特別演者、シンポジスト、プログラム委員など、事務局の無理難題を快く引き受けていただいた皆様には敬服するばかりです。
 次回の第5回学術集会は11月19日(金)、20日(土)に仙台市で行われます。多くの方の参加で盛り上げようではありませんか!主催の東北厚生年金病院の皆さん、宜しくお願いいたします。




 日本クリニカルパス学会主催の第1回市立岸和田市民病院パス大会見学会に参加させていただきました。当日は22施設45名が参加しました。玄関前にある心安らぐモニュメントから、岸和田市民病院の患者様への心配りが伝わってくるような雰囲気の中を歩いて病院へ入りました。
 最初は、「岸和田市民病院のパス導入と成果」について山中英治先生よりお話していただきました。中でもチーム医療についてNSTの活動を中心に褥瘡対策チーム・感染対策チーム等各職種の連携を伺いました。一つのクリニカルパスを作成する検討過程で各職種の専門的意見を出し合いチーム医療を実施していくことは大事なことですが、チームとして直接患者に接し、その場で意見交換をしながら患者を中心にして医療が進められることはとても重要なことです。褥瘡対策や感染対策に対して診療報酬が認められたことにより、他の多くも施設においても、各チームの働きが活発になってきていると思います。組織の中でシステム化され、効果的・効率的な機能を果たせるようなチーム活動が期待されますが、その一例を提示していただいたと思います。
 笹山環看護師長の話から、参考としていきたいことは各診療科で作成されたパスは、パスとしての作成基準が満たされているかが監査され、院内のパス委員会の承認をうけてから使用されている点です。実施されている施設にとっては当たり前のことだと思われますが、パスとしての内容はどうか、診療録としての条件は満たされているか、エビデンスに反している部分はないか等について各診療科だけでなく、病院としてのパスに対する監査・承認が私たちの病院では課題の一つになっているところです。もちろん、各パスに対しては事例検討という形で、いろいろの意見をだしてもらう機会はありますが、是非この課題はクリアしていきたいと思います。
   パス大会のテーマはヴァリアンス分析でした。印象的だったのは、診療情報管理士の方がヴァリアンス分析をされていたこと。ヴァリアンスの収集方法についても論議になりました。何についてのヴァリアンスをどの方法で収集し、分析解析すればよいのか、また誰が行うのか等、何を目的にヴァリアンス分析を行っていくかが改めて問われていたと思います。アウトカム設定がパスの中には必須であること、パス作成はアウトカム設定から始まることも、見えてきたと思います。
 最後の特別講演は、「クリニカルパスとTQM」と題して、済生会熊本病院 副島秀久先生のお話を伺いました。先生の位置づけは済生会熊本病院パスプロジェクト/情報プロジェクト総括責任者TQMセンター長です。TQMセンターの組織はセンター長の基にクリニカルパス、感染対策、NST、褥瘡対策、リスク管理がそれぞれ専任のナース(NSTのみ兼任)1名と兼任の医師、専任の事務2名から構成されている。医療の質を管理していくために縦だけでなく、相互に協働する横のつながりを重視した組織が専門的に活動していることがこの組織図を見ただけでも伝わってきました。クリニカルパスのヴァリアンス分析の結果から得られた質改善情報を全病院的に効果的に普及させ、質改善を継続して実施していくためには、院内のあらゆる情報を一元的に把握し、有効に横断的に活用するこのような体制が是非必要であることは明確ですが、如何にしたら実現できるのか大きな課題です。また、先生のお話の中で、アウトカムの中からクリティカルインディケーターになるのはいったい何かを目的にアウトカム分析ヴァリアンス分析を行っていくことが示されましたが、今後に向けて非常に重要なヒントと宿題をいただきました。先生の話をお伺いしているとどこからともなく力が湧いてくるような気持ちになるのは私だけではなかったかと思いますが参加された皆様いかがでしたか。
 以上大阪の南の地、岸和田市民病院パス大会参加の感想です。岸和田の皆様お世話になりありがとうございました。


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