あるケース。お元気だった方が、脳梗塞で入院、1ヶ月の治療を経て病状が安定、退院となる。要介護4。寝たきり。家族の依頼は深夜のオムツ交換。ここで家族の意向どおり、オムツ交換ということでケアプランを立てるのは、単なる御用聞きであり、ケアマネジメントとはいえません。脳梗塞後遺症のこのお客様は、今後どういう見通しであるのか?リハビリで杖歩行は可能になるのか?それともリハビリによる回復は期待できず、現状維持なのかで、その後のケアプランは変わってきます。日々の生活の中で積極的に離床を促すのか、ベッド上でのQOLに重点を置くのか?リハビリ次第で、杖歩行が可能になる見込みであれば、当然積極的な離床を促し、離床に際しての安全確保や生活リハビリに重点を置いたプラン作成、ご本人・ご家族への提案を行うことになります。ケアマネのプラン次第で実は、その方のその後のADL・QOLとも変わってくるという現実があります。自分のたてたケアプランの成果にこだわり、積極的に病院・医院に出向いて、主治医やPT等との連携をもつケアマネがいる一方で、まだまだケアマネジメント業務に不安を持ち、病院の敷居の高さに足が向かず、単なる御用聞きが精一杯のケアマネがいるという現状は否めません。しかし、退院前に日常生活の支援体制について準備しておくことは、患者様や家族の不安の軽減、スムーズな早期退院につながるのです。この学会に入り、学会誌や関連雑誌を読みあさってますが、2〜3年前と比較すると、パスの中に、介護保険、ケアマネジャーとのカンファレンスというワードを見かけるようになりました。優秀なケアマネと連携をとれる病院は、病床の回転率にもいい影響を与え、ケアマネにとっても連携のとれる医療機関のサポートは、ケアマネジメントを行っていく上で強力に心強い存在です。今後ますます、高齢者パスのプログラムの中に、介護保険、申請、担当ケアマネ等のワードがあたりまえのように組み込まれている日を夢見ている今日この頃です。 ―次回は四国がんセンターの河村進先生です。 ▲ 篠原 奈都子 ケアマネジャー |
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