平成16年10月30日(土)に、岩手県盛岡市で第9回日本クリニカルパス学会教育セミナーが開催され、聖路加国際病院薬剤部長の井上先生が司会進行、特別講演では函館五稜郭病院客員診療部長の岡田晋吾先生と東北厚生年金病院看護局次長の庄子孝子先生、薬剤部門には総合高津中央病院薬剤科長の宮崎美子先生など第一線で活躍されている先生方の講演がありました。
 当日は、150人の定員に対し約90名の薬剤師が参加し、県外からは前橋赤十字病院の4人の先生をはじめ、11人の先生が参加して下さいました。当院の看護師さんも3名参加しましたが、薬剤師以外の参加はこの3人だけでした。薬剤師中心の研修会でしたが、当院から参加した看護師さんも、岡田先生と庄子先生の話はとても勉強になりましたとの感想でしたので、他職種の参加があった方がもっと面白かったのではと思います。
 岡田先生は「チーム医療の実践―薬剤師に期待するものー」というテーマで、パスの有用性や作成方法、EBMとの関連などを話され、「EBMはチーム医療に不可欠なので、薬剤師はエビデンス分析の専門家としてパスに参加して欲しい」と述べられました。さらにSSI、NST、癌化学療法とパスの必要性について解説し、「人生はパス通りに行きません。バリアンスが起きたときどうするか?これが大切です」と講演を締めくくられました。印象的だったのが「バリアンスそういうあなたがバリアンス」と言われたことで、パスに対する抵抗勢力?はどこにでもいるものだなと思い知らされました。



   庄子先生は「クリニカルパスに対する東北厚生年金病院の取り組み」というテーマで、院内におけるパスへの取り組みやパス発表会の経過などを話され、開始当初は薬剤師の参加が少なかったが、パス発表会を重ねるうちに薬剤師の参加人数が1人から4人に増えたときは嬉しかったと述べられました。
 薬剤関連では、岩手県立久慈病院薬剤科の玉川先生と岩手医科大学附属病院薬剤部の藤田先生より、薬剤科(部)のパスへの取り組み状況について報告がありました。宮崎先生は薬薬連携を取り上げ、入院時の薬剤管理指導だけではなく退院後のフォローも大切なので、保険調剤薬局との連携の必要性を話されました。
 最後に、総合討論が行われ、パスにある抗生物質の皮内反応の問題、パスの有用性の分析方法、抗生物質の選択に院内分離菌を考慮すべきだ等の質問や意見が出され、盛会のうちに終了しました。
 講演を聴いていると、病院のスタッフは薬剤師のパスへの参加を期待しているのに、チーム自体に入っていけない薬剤師が多いようです。要は、やる気とほんの少しの勇気かもしれません。薬剤師はもっと積極的に参加しなければと感じさせられたセミナーでした。


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