日本クリニカルパス学会も、昨年6月の設立からまもなく1年を迎えます。その間に、たくさんの皆様にご入会を頂き、また多くの学会行事に参加して頂いたことを厚くお礼申し上げます。設立記念講演会の際にクリニカルパスニュースの号外をお配り致しましたが、やっと第1号をお届けできる運びとなりました。当面学会誌は、原著、投稿などを中心とするもの1回と学術集会の抄録号1回、ニュースレターは写真なども取り入れた各行事の参加報告や行事予定など広報的な要素を掲載する予定です。 今回の診療報酬改定では、入院診療計画未実施減算が導入され、各病院においてクリニカルパス導入の機運が高まっていることと思います。本学会は、医師、看護婦、薬剤師、栄養士、理学療法士、臨床検査技師、作業療法士、放射線技師、介護福祉士、病院管理者および医療事務担当者など全ての医療に関わる人々とともに、クリニカルパスを通じてチーム医療を推進することを目的としています。学会の趣旨をご理解のうえ、会員ひとりひとりが、積極的に学会活動に参加して頂きたいと思います。どうぞご協力をお願いいたします。
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クリニカルパスの効用として、患者さんへの治療や看護への担保(保証)ができることがあげられます。その担保のためにも、パスを示しながらのインフォームド・コンセントが必要です。十分な情報を提供して、患者さんの納得、同意を必要とするのは当然です。 今回の診療報酬の改定で、入院診療計画を説明しないことによるペナルティとして350点もの減算(入院初日)が実施されることになりました。そこでは、概ねの入院期間、当該入院期間中に予定される治療の内容及びその進め方がわかる入院診療計画の患者への提供ということになっています。まさにパスそのものを指しています。診療計画の大部分は看護計画であるところから、従来、看護過程という中で看護計画が立てられていたことからすれば、看護教育が実際の臨床看護の場で診療報酬という形で評価されたことになります。これは意義深いことです。それだけでなく、チーム医療が本当に実践されてはじめてパスの効用となります。 パスはチーム医療なくして実践できません。しかも専門職それぞれが自立(自律)による認識の下に行動することも必要です。 最大の効用は、医療の質が格段に向上する期待があることです。そのためにも、パスの内容がEBCP or EBN(Evidence Based Clinical Practice or Evidence Based Nursing)を基盤にして作成されたものであり、その病院(病棟)で確信をもって実践されることが約束されているはずです。従って、Evidenceはその病院が実行可能なデータから構成されていて、パスを見れば、その病院の実力がわかるようになっています。パスのよし悪しで、その病院の医療の質がわかるということです。 病院の効率的マネジメントの追求は、パスのみで出来ることではありません。パスは効率性という効用に期待されてはいるものの、質の向上のない効率性ではいかがなものでしょうか。 |