第1回日本クリニカルパス学会学術集会は、2000年11月21・22日の両日、済生会熊本病院院長・須古博信会長のもと、東京こまばエミナースで行われた。本学会はじめての学術集会であったが、およそ1,000名の参加者があり、4つの講演会場はそれぞれ多くの会員で埋まり、盛り上がった討論が行われた。総演題数は83であった。
シンポジウムには「パスと医療の標準化」・「パスとバリアンスの実際」・「パスと診療報酬改定」・「チーム医療とパス」の4つが、ワークショップには「看護記録の効率化とパス」・「EBMとパス」の2つがテーマとして取り上げられた。いずれもタイムリーな話題であり、会場には熱気が溢れていた。ただし同時進行となるプログラムもあり、全部を聞くことができなかったのが、残念であった。
特別講演には日野原重明先生の「日本の医療はどこへ行くか」とカレン・ザンダー先生の「How Clinical Pathways positively Transform Health Care Organizations」の2つが、教育講演には上原鳴夫先生の「チーム医療と医療ケアの質の向上」と郡司篤晃先生の「日本の今後の医療とパス」の2つが行われた。日野原先生の長いご経験からくる「米国の医療システムが日本に紹介されたときには、本国では必ずしも流行していない」という分析は、示唆に富んでおり考えさせられた。ザンダー先生の「パス導入を成功させるための秘訣」は阿部先生によるスライドへの日本語訳挿入というご努力もあり、大変理解しやすかった。
主幹病院である済生会熊本病院からは、数多くの演題が出され、クリニカルパスに対する病院全体での熱心な取り組みと先進性が示された。なかでも須古先生は会長講演で、クリニカルパスに関しての過去・現在・未来を話されて、チーム医療の大切さを強調された。
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第2回の本学会は2001年11月21・22日の2日間、大阪国際交流センターで大阪市立岸和田市民病院院長・古庄巻史会長のもとで開催される予定である。古庄先生によると「京都の紅葉の見頃であり多数のご参加を期待しています」とのことであった。21世紀に本学会がどのような方向に向かっていくのか楽しみである。
第1回クリニカルパス学会に参加しました。聞くことのできたセッションは随分限られてしまったのですが、その感想をお話します。
印象深かったのは、文字通り「チーム医療」として診療と看護、コメディカルが同じ土俵に乗っていることが実感できたことです。クリニカルパス学会なのですから当たり前ではあるのですが、このように多職種が全く同じ目標に関心を持って一堂に会する(会場が別々でない)のは画期的だと思います。
さすがに医師達のプレゼンテーションは内容、表現ともに目立ちました。基本的にエビデンストベイストの手法が身に付いており、看護職として学ぶべきことが多々ありました。残念ながらまだコメディカル部門の出席、発表が少ないように感じましたが第1回目ですから欲張らなくとも良いでしょう。プログラムの内容はどれも関心のあるものばかりで、時間が重なっている(これは致し方ないのですが)のが残念でした。私としてはパスがこれほどまでに日本全国で開発され、実践されていることに驚きを感じました。それと共に、これらの施設の新たな医療体制の取り組みを目指す前向きな姿勢に敬意を表したいと思います。
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