あと数年でDRGを使った診療報酬制度が始まるとささやかれています。こうなると実績としてクリニカルパスを作製し実践している施設が、より高質のパスとそれを駆使することが出来る医療スタッフとでスムーズに適応して行くことが出来るのでしょう。
 この学会が回を重ねるうえで何よりも大事だと思えることは、米国のそれのように「初めにコストありき」ではなく「初めに質ありき」の考えに則ったパスが基準になることを進めて行くための力となる学会であることだと思います。


 平成12年10月24日・25日 徳島大学付属病院看護部及び、日本クリニカルパス学会の主催による見学会が行われた。
 会場である徳島大学付属病院MINCSカレンファレンス室は、パス学会の山嵜絆先生、阿部俊子先生を始め学会員18名が集合した。また、付属病院の看護婦や医師の皆様の出席が多数あり、盛況のうちに会が運営されていった。
10月24日15時〜 講演
● クリニカルパス システム化の過程  木田菊江婦長
● 血液疾患化学療法クリニカルパスの
アウトカムと看護介入の評価 上田孝子婦長
●当院のクリニカルパスの評価と今後の課題 鈴記洋子婦長
10月25日10時〜 病棟見学
 集合治療病棟―脳外・療養型病棟とNICU―整形外科病棟の2コースに別れ、見学以上のスケジュールで充実した研修を受けることができた。
 私達2名は、参加するにあたりそれぞれの課題をもっていた。1名は院内クリニカルパス委員会のメンバーとして、当院で作成したパスを持参し照合すること。1名は、内科病棟代表として、遅々として進まない内科系の現状を打破するために何らかのものを得ることであった。
 講演終了時にはあまりの違いに大きなショックを受け、どうにもならないという思いで一杯であった。しかし、コンピュータ管理はしていないが内容はそれほど違わない、内科系の化学療法は横軸を病期に分ければ活用できる等の思いに至った。
 当院ではこれから看護支援システムを構築するところであり、また違ったパスシステムが考えられたらと思う。
 お忙しい中、私達のために時間を割いて下さった徳島大学付属病院の皆様に感謝致します。


 2000年12月3日から10日まで6泊8日の米国研修に参加しました。参加者は山嵜副院長(済生会中央病院)以下20名(看護婦・士15名、医師5名)で、当院からは4名が参加しました。まず、出発前の成田空港で東京医科歯科大学の阿部先生から米国の医療制度の概略を紹介していただいたあと渡米しました。4日間を通じKaren Zander先生に指導を受け、研修1日目は、各人のパスに関する疑問点の呈示をおこない、実際に膵炎に関するパスの作成をはじめ、2日目はVitkum,MDとRobertson,RNから、それぞれの施設でのcase managementの説明をうけました。4日目は全体を通してのdiscussionとvariance分析を通したケア改善の必要性とvalue compassの実例呈示をうけました。おそらく参加者が最も楽しみにしていたのは3日目の病院見学でしょう。ホテルから10分の所にあるWinthrop University Hospitalで、10人以上のスタッフから病院施設、care systemの説明をうけ、とくに心臓外科、老年内科、産科病棟を実際にみせていただきました。同病院では特に心臓外科で最近治療成績の著明な改善がみられ、Dr.Scottを中心としてcare systemの改善につとめたことが強調されていました。感染予防対策(特にガウンテクニックより手洗いの励行を強調)、registered nurseが思ったより少ないこと、入院期間短縮のために様々な努力がなされていることが改めて印象に残りました。



 さて、今回の研修で今まで我々が作成してきたパスにはoutcomeが欠落していて単なる手順書に留まっていることがわかりました。今後はこの点を改善し、そのまま看護記録の代用となりうるものにする必要性を痛感しました。しかしながら、医療保険制度自体が異なっているため、日本で全く同様のパスを作成する意味は小さいと思われます。


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