あと数年でDRGを使った診療報酬制度が始まるとささやかれています。こうなると実績としてクリニカルパスを作製し実践している施設が、より高質のパスとそれを駆使することが出来る医療スタッフとでスムーズに適応して行くことが出来るのでしょう。 この学会が回を重ねるうえで何よりも大事だと思えることは、米国のそれのように「初めにコストありき」ではなく「初めに質ありき」の考えに則ったパスが基準になることを進めて行くための力となる学会であることだと思います。
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2000年12月3日から10日まで6泊8日の米国研修に参加しました。参加者は山嵜副院長(済生会中央病院)以下20名(看護婦・士15名、医師5名)で、当院からは4名が参加しました。まず、出発前の成田空港で東京医科歯科大学の阿部先生から米国の医療制度の概略を紹介していただいたあと渡米しました。4日間を通じKaren Zander先生に指導を受け、研修1日目は、各人のパスに関する疑問点の呈示をおこない、実際に膵炎に関するパスの作成をはじめ、2日目はVitkum,MDとRobertson,RNから、それぞれの施設でのcase managementの説明をうけました。4日目は全体を通してのdiscussionとvariance分析を通したケア改善の必要性とvalue compassの実例呈示をうけました。おそらく参加者が最も楽しみにしていたのは3日目の病院見学でしょう。ホテルから10分の所にあるWinthrop University Hospitalで、10人以上のスタッフから病院施設、care systemの説明をうけ、とくに心臓外科、老年内科、産科病棟を実際にみせていただきました。同病院では特に心臓外科で最近治療成績の著明な改善がみられ、Dr.Scottを中心としてcare systemの改善につとめたことが強調されていました。感染予防対策(特にガウンテクニックより手洗いの励行を強調)、registered nurseが思ったより少ないこと、入院期間短縮のために様々な努力がなされていることが改めて印象に残りました。 さて、今回の研修で今まで我々が作成してきたパスにはoutcomeが欠落していて単なる手順書に留まっていることがわかりました。今後はこの点を改善し、そのまま看護記録の代用となりうるものにする必要性を痛感しました。しかしながら、医療保険制度自体が異なっているため、日本で全く同様のパスを作成する意味は小さいと思われます。 |