平成15年2月15日に大阪薬業年金会館で開催された第5回教育セミナー「クリニカルパスと薬剤師の責務」に参加させていただきました。今回のセミナー参加の動機は、クリニカルパス(CPと略す)の基礎を知りたかったことと、薬剤師の専門性をCPでどう生かすことができるかということに興味を持っていたからです。講師の先生方のご講演は、実践的であり、具体的な事例を挙げてお話いただいたので、大変理解しやすく、将来に向けた薬剤師の職能発揮の方向性を見つけ出すきっかけともなり、貴重な機会が得られたと満足しています。
 済生会熊本病院飛野先生と市立岸和田市民病院青山先生のご講演では、CPの構造とツールの実例提示があり、CPの組み立て方と薬剤師の関わるポイントが良く理解できました。また、CP構築にあたり、自施設の薬剤の使用状況などの現状把握が大切であることも伺えました。両施設共、病院全体で取り組まれ、その中に薬剤師が参画し、NSTやICT等に積極的に関与されていることに感銘しました。
 順天堂大学医学部附属順天堂浦安病院小清水先生と聖路加国際病院井上先生のご講演では、貴重なデータを示して頂き、目から鱗が落ちる思いでした。
 ジェネリック医薬品の採用による公益を求められている中で、医薬品の品質はもちろんのこと、情報や供給面においても適切に評価し、薬剤の選定に反映させなければいけないことが明確になりました。また、これからの薬剤師は、確かな根拠を見つけ出すための判断分析能力の習得が必要で、サイエンスからアートへの架け橋を担えるようにならなければと感じました。

   セミナー全体を通して、CPにより得られる利益は、患者側にも医療機関側にもとても大きなものであると実感しました。また、CPはEBMを基礎としているため、患者に対して、わかりやすく納得のいく医療を提供できるということが具体的に理解できました。CPは、医療環境の変化に対応して進化していくもので、各医療機関の果たす役割を充分理解して、より良いチーム医療の実現をめざし、各職種の職能を生かせるように育てていくものだと感じました。質の高いCPを作り上げる過程に関わることで、薬剤師の職責である患者の安全確保と最小の費用で最良の医療を提供することを実践することができるという認識ができました。
 今後とも、このようなセミナーを企画していただき、広い知識と方法等を学べる機会をご提供いただけることを期待しております。各講師の先生方には、深く感謝しております。ありがとうございました。



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