今回のパス見学会に参加したのには、次のような経緯があります。実は当院では院長よりのトップダウンでの方針により、2000年よりパス委員会が立ち上がり、主に外科系疾患を中心に着々とパスの作製が進められました。しかし内科系のパスは進行状況が遅く、私自身も看護師と共に脳梗塞のパスを手掛けたものの、なかなか完成には至らず、今回やっとの思いで作り上げた「脳梗塞A」という軽症型パスを、他の施設のものと比較したいという思いがありました。 初日は、まず道端さんの方から「済生会熊本病院のパスの基本構造、基準設定とフォーマット」に関するお話がありました。計50名よりなるパスプロジェクトチームのもと、第3段階のパスまで進化し、現在TQM(Total Quality Management)という医療の質に対する考え方に踏み込んでいるとの事です。パスの構造、アウトカムのカテゴリー、さらに適応基準・除外基準・退院基準・クリティカルインディケーターの重要性についての説明があり、とにかくバリアンスの分析を重ね、エビデンスを収集することによりパスをより良いものとし、医療の質を向上させていくというのが最終目標だという、パスの本当の理念を改めて認識する事ができました。次に副島先生の方から「アウトカム設定とバリアンス分析」に関するお話がありました。これまでも、多くの先生からのパスに対する批判的な意見を聞くことがありました。その多くは「患者さんの病態は個々で違うのに、パスで統一する事はできない」というもので、いつもそれに反論できずにいたのですが、副島先生よりの、医療の標準化と画一化の違い、標準化によるメリットの説明を聞き、自分の中でもやもやしていたものが晴れた気がします。夕方のパス大会では、脳卒中パスに関する発表が、医師、看護師、薬剤師、MSW、医事の方から発表がありました。どれも内容の濃い発表で、非常に工夫がなされているのが解りましたが、中でもMSWの方の発表された、点数化によるMSW介入は、非常に斬新的で今後各施設でも普及するであろうという予感があります。また、医事の方から、「現状の医療制度では脳梗塞は利益があがらない」という我々にとっても残念なデータが示され、参加者一同驚かされた事と思います。翌日は、各施設のパスを持ち寄ってのベンチマーキングがありました。適応基準、歩行開始、食事開始、入浴開始、検査時期など、施設ごとにかなりばらつきはある様ですが、十分な意見交換を行う事ができ、多くの課題も持ち帰る事ができました。今後のパス改訂、さらには新しいパス作製にも役立たせていただきたいと思います。 |
新しい発見も多く、大変実りのある2日間でした。次の機会にも是非参加できればと考えております。ありがとうございました。 かねてから念願だった日本クリニカルパス学会主催の済生会熊本病院パス大会に参加することができました。全国から50名の多職種の方が参加されており、関心の高さを感じました。 看護部の道端由美子先生から、済生会熊本病院の概要や医療環境の説明を受けた後、「済生会熊本病院パスの基本構造、基準設定とフォーマット」を拝聴しました。済生会熊本病院のクリニカルパスは第3段階のパスに進化しており、コアとなるクリニカルパス専任看護師、第二次クリニカルパス推進プロジェクトが組織化されていました。パスの質的向上のために、これまでの従来パスに加えて、ユニットパス、日めくり式パス、アルゴリズム、オプションパスを入れ、工夫しながら活用するとの説明をうけました。これらのパス運用については院内見学時に、PEIT後の患者に使用されていたユニットパスや日めくり式パス等の説明を受け、新人もパス作成のメンバーになり、文献学習などを通じて教育的な関わりが深められているとのことでした。 |