他施設の方との交流も含め、あらためて、パスに関わっていることの楽しさ素晴らしさを認識したパス大会見学会でした。2日間にわたりお世話になりました近森病院スタッフ、学会事務局のみなさま、ありがとうございました。




 5月7・8日、東北厚生年金病院のパス大会見学会に参加しました。以前に院内のパス大会を見学させていただいており、今回は2度目の訪問です。東北はクリニカルパスの導入(チーム医療自体が?)が遅れている地域だといわれる中で以前からパス導入に積極的に取り組んでおられる病院としていつも勉強させてもらっており、今回も大変楽しみにしていました。2日間を通しての印象ですが、会場全体にあふれるスタッフ全体の明るい熱気と充実した発表内容とがあいまって、時間を忘れてプログラムの進行に引き込まれました。当院のスタッフからも、すぐさま、「先生、こんなふうなパス大会、こんなふうなチーム医療をめざそうね。でも、できるかな〜。」と感動とため息が交差した感想がもれたものです。「目指す目標が見えたことはすばらしい収穫だよ。」と答えたものの、僕自身その高い到達度を目前にして、ちょっとまいったなと立ち止まってしまう・・そんなすばらしい大会でした。
 発表の内容では、クリニカルパス委員会・委員長の菅原先生の発表から厚生年金病院のパスのたどってきた発展の軌跡を知ることができ、これから後を追いかけるものとして大変参考になりました。また、庄司看護次長の発表では、パスのなかに看護記録が次第に組み込まれていく過程がたいへんわかりやすく整理されました。当院では診療録とパスの電子化をめざしている過程にあるのですが、ここまでうまく整理できればいいなと思いつつ、これも前途多難とやや気おされ気味です。
 病棟見学では各病棟で実際の日常診療場面で使われているパスの実例を見させてもらいました。どこのスタッフも診療の質の向上につながるようなさまざまな創意工夫をとりいれており、生きているパスを見せてもらったという印象です。
   パス発表会は「低リスク急性心筋梗塞パス」と「人工関節置換術のパス」の発表でしたが、それぞれに医師、看護師、薬剤師、栄養士、理学療法士、医事課からのプレゼンテーションがありました。パス作成の過程や実績データがおのおのの専門職の立場から分析され深みと広がりを感じる内容でした。なによりも、クリニカルパスというツールを通じてスタッフがのびやかな自主性をもってチーム医療に参画している様子が伝わり、これこそがパスの本当の意味なのだなと実感させられました。



 2日目の午前中は東京医科歯科大学大学院保健衛生学研究科の阿部俊子先生が「パスの課題とこれからの対策」という演題で講演をされました。日本のクリニカルパスの現状から時には日本の医療の抱える構造的な問題点にまでおよぶ広範な分野を非常に明晰な切り口で分析され、そのエネルギーと説得力はさすがでした。
 1日目の夜の懇親会では日中のパス発表会の感動が覚めやらぬまま、大変にぎやかな会になりました。私も東北北部の病院から参加していた看護師さんたちと、東北地方にパスとチーム医療を根付かせよう!などとすっかりできあがって盛り上がっておりましたが、これはまあ本音です。
 私どもの病院は新規開院して2年足らずで、パスもチーム医療の中身もまだまだこれからのハイハイ歩きといったところです。そんななかでクリニカルパスも電子カルテ整備も同時進行で前に進もうと、やや無謀な試みにとりかかっています。しかし、どうしても先に骨組みありきのトップダウンにとどまっているのが問題点だと感じていました。今回のパス大会で目の当たりにした現場からパスを作り上げる熱意とパワー、このエネルギーをなんとしても当院に根付かせたい、今はそう思っています。手始めに7月上旬に開院2周年記念の院内パス大会を開く予定です。さて、これから東北厚生年金病院の背中を追いかけようと思います。

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