一生懸命なら知恵が出る 中途半端なら愚痴が出る いい加減なら言い訳が出る 京都が大好きで学会、研究会が関西での開催ならば京都で宿をとるようにしている。先日も京都で乳癌学会の班会議があった。午前10時から7時間ホテルの会議室でカンヅメ状態となることがわかっていたので、1泊してゆっくりする計画を立てた。その夜は祇園の白川通りから先斗町のはんなりとした雰囲気を楽しみながら歩き、居酒屋で食事をした。ビールを飲みながらお店のなかを見回すと壁に貼ってある模造紙に書いてあるこの言葉が目についた。さっそくメモしておいた。 四国がんセンターへパスへが導入され始めたのは1999年、当院に形成外科を開設して5年が経過したころである。形成外科での手術件数が増え、乳がん手術への関わりも多くなってきた。ちょうどこの頃に、乳がんの手術パスが一部の看護師さん達によって使われ始めた。これは便利で使えると思ったのがはじまりである。以来、パスにはまってしまった。当初は再建手術パスを作り使ってみた。乳房再建手術は外科で乳房切除術、全乳腺切除術、乳房温存術が行われた後に形成外科が再建術を行う。そのため入院前からかかわることとなる。当然術前パスには再建の説明文が入る。術前の患者説明用パンフレットパスの作成に関わりだしてからは乳癌パスとはなれることができなくなってしまった。ますますはまりだして、一生懸命やった。いろんな知恵がでて、いいパスに育った。 翌日は少し早起きして鴨川沿いのスターバックスコーヒーのエスプレッソで目をさまし、活動を開始した。その日は天気も良くたっぷりとオゾンを感じたかった。京都駅からJRで伏見へ移動し、伏見稲荷の長い鳥居のトンネルをくぐりぬけ、いろいろと願掛けをした。お昼前には嵯峨野へ移動してお寺の庭を拝観したあとに、嵯峨野の竹林のオゾンをたっぷりと吸いながらビールと湯豆腐を食した。心地よい疲れを残してリフレッシュできた。 ▲ 河村進 医師 |
パスをやれば楽になる。実際に入院時の指示出し、記録、患者さんへの説明などは格段に楽になった。しかし、病院全体のパスを任されるとたくさんのことをマネージメントしなければならない。トップとの交渉、各診療科との意見調整、他部門との連携、全職員への説明とブーイングに対する処理。そのほかにもたくさんの仕事がある。褥瘡対策委員会、NST委員会、DVT対策、システム情報委員会などなど。これらはすべてチーム医療につながるのでしかたがないことなのだが。最近はこういった状況ですべてが中途半端になっているので愚痴が出るのだろうか。パス仲間との飲み会で話すときに、「たくさんやることがあって形成外科の仕事ができない。どうしてあれもこれもやらなきゃいけないのだ。」などと愚痴を言う自分がいる。実際にはいろんな事で多くの人(職種)と接したいのでやっている面もあるのだが。 先斗町で出会った言葉で考えを新たにした。愚痴をこぼさないように前向きにやるぞ。一生懸命やっていっぱい知恵がでるようにするぞ。まだ言い訳はでてないのでいい加減じゃないのだから・・・ (愚痴エッセイになってしまった。ここらでバトンタッチ。千葉西総合病院の大森先生よろしくお願いします。) −次回は千葉西総合病院の大森敏弘先生です。
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