日本クリニカルパス学会主催による第4回教育セミナーは、秋色に包まれた快適な日和の中で10月5日(土)に新潟大学歯学部講堂で開催されました。私は新潟での開催にあたりお手伝いをさせていただいた一人として報告をさせていただきます。
 当日は、定員を上回る参加者で会場が埋まり、補助椅子で対応するほどの盛況振りでした。生憎、土曜日であったため空調設備が動かず、その上会場には窓もなく、さらに参加者の意欲と講師の先生方の熱意で会場はヒートアップ、扇風機3台をフル稼働しましたが“焼け石に水”で大変ご迷惑をおかけいたしました。この場を借りてお詫び申し上げます。また、東京都、大阪府、愛知県、岐阜県、富山県、群馬県、神奈川県、福島県、長野県等遠方からの参加を含め多数の参加がありましたことを御礼申し上げます。

 今回の教育セミナーは、当初薬剤師を対象としてクリニカルパスのセミナーを開催したいとの意向がありましたが、地方都市での薬剤師に限っての開催の場合、非常に厳しい参加状況が予測されるとのことで、「チーム医療とクリニカルパスの実践」として全職種を対象としたセミナーになりました。しかし、講師の先生のうち4名中2名は薬剤師であり、薬剤師にポイントが有ったことと思います。残念ながら薬剤師の参加者は、20名弱と予想通りの状況でした。本教育セミナーのアンケートにおいて、70%強の参加者は「期待通りであった」と回答しています。また、総論的には期待通りであったが、各論部分では不満があるといった意見が多数寄せられました。演者(看護師、薬剤師2名、医師)構成に対し参加者は、看護師が約80%を占めていたようにアンバランスな形であったためではないでしょうか。大都市部でのクリニカルパスの全職種的盛り上がりに対し、地方都市、特に新潟における看護師以外のコメディカルのクリニカルパスに対する意識の低さを如実に物語っていると思います。

 
薬剤師のクリニカルパスに関わるものとして、病棟業務(服薬指導等)、治験、そしてアイディア次第で種々の業務に応用可能なツールとなるクリニカルパスに目を向けてみませんか?薬剤師の奮起を期待いたします。
 さて、セミナーは開催にあたり佐藤博薬剤部長から、新潟大学医学部附属病院におけるクリニカルパスの現況を含めた挨拶がありました。続いて、山嵜絆先生(町田市民病院副院長)から「クリニカルパスとケアの質向上」、依田啓司先生(国際親善総合病院薬剤部)から「薬剤師がパスを実践するための方法、取り組み方」と題して急性期病院における実際の活動状況についてビデオ映像を用いた講演がありました。休憩を挟んで宮崎美子先生(坂本第二病院薬局)から療養型病院での薬剤師のクリニカルパスへの取り組みとして「クリニカルパスと薬剤指導記録の作成方法」、最後に岡田晋吾先生(函館五稜郭病院外科医長)から「パス導入によるチーム医療とEBMの実践」として鋭い切り口でありながら楽しくなってしまう内容の講演に聞き惚れてしまいました。そして、総合討論では井上忠夫先生(聖路加国際病院薬剤部長)・佐藤博薬剤部長のテンポの良い進行で活発な討論が行われました。
 本セミナーにおいて種々の角度から見たパスについての4人の先生のご講演及び総合討論を聞き、クリニカルパスの原点に戻る重要性、常に前進するために必要なものが何かとアンテナを広げること、他職種の立場に立って物事を見つめること、スタッフが厳しくかつ楽しい雰囲気となる雰囲気を作り上げること、これらがチーム医療を育てパスの展開につながるポイントであると認識を新たにしました。現在、私はクリニカルパス委員会事務局業務に携わっております。実際にパスを作成する立場ではありませんが、事務局として当院にクリニカルパスを浸透させるためのエネルギーを得た有意義な1日でした。


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